殿さまの日(日文版)更新32章全集TXT下载/全集最新列表/[日]星新一

时间:2017-10-21 18:35 /恐怖小说 / 编辑:萧十一郎
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殿さまの日(日文版)

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更新时间:2019-02-05 17:01:18

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《殿さまの日(日文版)》第25篇

にそうある。読みなおしてもまちがいはない」

「はあ」

やはり、あの手紙の通りだった。良はひとりうなずく。

「いやに平然としているな。夢ではないかと飛びあがって喜ぶかと思っていたのに。おまえは変り者だな」

当然のことながら、ほかの流人たちは、うらやましがり、くやしがった。

「なんだ、あいつ。このあいだ島に来たばかりだというのに、もう帰れる。どういうことだ。不公平だ」

やむをえず、名主は理屈をこじつけた。

「不平を言うな。お上のなさることに、まちがいはない。いいか、医師の良は、島に来てから、まじめな生活をした。みなの病気をなおすために、損得ぬきでつくしてきた。わたしはそのことを、島奉行への報告書にしるした。そのためだ。だから、おまえたち、早く江戸へ戻り

たいのなら、島抜けなど考えず、おとなしく働くのだ」

はみなに別れを告げ、船に乗る。

江戸へのその船のなかには、ご赦免になった男が、ほかに二人のっていた。よその島から戻されるところだった。話がかわされる。三十歳ぐらいの男に、良は話しかけてみた。

「おたがいに、帰れてけっこうですな。わたしは医者でしたが、つまらんことで島へ流されましてね。で、あなたのご職業は」

「わたしの名は次郎、役者でした。うまれつき、その方面にむいていたのでしょう。いろんな役を器用にこなしましたよ」

「それがなんで遠島に」

「面半分に、役人に変装してみた。つまり、武士になりすましてみたのです。いい気分でしたよ。大きな商店を順におとずれ、いかにも役人らしく尊大なあいさつをしてまわった。すると、下へもおかぬもてなし。そのうえ、金までくれた」

「役所に対し、なにかうしろ暗いところのある連中ですな」

「でしょうね。世の中には発覚しないでいる悪人が多い」

「やつらはあなたにおどされ、穏にとそでの下をさし出した」

「とんでもない。おどしたりしませんよ。意味ありげにだまっていると、むこうが気をまわし、勝手に金を出したというわけです。こっちは、それをいただいただけ。役人だと名乗り、おどしたりしてたら、ふとどききわまると打首だったでしょう」

「軽くすんだわけは」

「芝居の装のまま買物に寄ったのだと申しひらきをしたからです。また、商店のほうも、大目に見てほしいからそでの下を出したとは言えない。金額がうやむや。世間をさわがせたとの理由で、遠島となったのです。それにしても、こんなに早く帰れるとは。少なくとも三年の島

暮しは覚悟してたのに。すると、あの手紙は、やはり本物だったのだな」

低い声のつぶやきとなるのを耳にし、良は言った。

「なんのことですか。ここまでくれば、もう大丈夫。話して下さいよ。わたしにも思い当ることがあるのです」

「じつは、島にいる時、江戸からとどけ物があった。心当りのない人からです。手紙が入っていた。遠からずご赦免になるから、じたばたするなといった文面の。それをたよりに、なんとか生きてきたというわけです」

「食べ物はどうして手に入れました」

「芝居のまねごと、いや、ぶりつきの物語といったものを考え出しました。ひとり何役でいそがしかった。物まねもやりましたよ。島ではだれもかれも、娯楽に飢えている。そんなわけで、なんとか食物にありつけましたよ。しかし、それにしても、あの手紙だけはふしぎでなら

ない」

「それだったら、わたしも同様です。それと同じ手紙をもらいましたよ。他言するなと書いてありましたが、もうしゃべってもいいでしょう」

もそのことを告げた。すると、そばでだまっていた武士がを出した。

「あなたがたもそうでしたか。じつは、わたしもそうなのです。そんな手紙の入ったとどけ物があった。しかし、武士の遠島は、そう簡単にご赦免にはならない。半信半疑ながらも、それに望みをつないで生きてきた。文字が書けるので、名主のところで文書を作る手伝いをし、ま

た、寺子屋のようなものを開いて、子供たちをえた。信用され、弓を作ることを許されたので、それで鳥をとり、食べたり売ったりしてすごしてきた。しかし、こう早く帰れるとはな」

「おさむらいさんは、どんな罪で遠島になったのですか」

「わたしの名は、尾形忠三郎。ある譜ふ代だい大名の江戸屋敷につかえる者だった。若殿のお守役。武芸の指南などをしていた。街を見物なさる時などには、そのお供をした。つまり護衛係。ところがある、ばくちをしてみたいと若殿が言い出した」

「それはそれは」

「そこで、出入りの町人にたのんで、ある夜、案内してもらって出かけたのだ。そう面い遊びではないな、あれは。まだ碁のほうがよろしい。若殿もそんなお気持ちのようだった。不自由なく育った若殿には、金を賭かけて熱中する気分がおわかりにならぬ。今夜の一回だ

けでやめようと言われた。ところが、その時、不運なことに」

「なにが起ったのです」

「町役人の手入れがあった。岡っ引たちがふみこんできた。表ざたになったら、お家の一大事。わたしは若殿に、早くお逃げ下さいと言い、灯を吹き消し、大闘をやった。しかし、相手は大ぜい。奉行所の与下を連れて乗り込んできた。わたしは若殿の逃げたのを見きわめ

、おとなしくつかまえられたというわけだ」

「お武家さんだったら、そんな時には切するんじゃ」

「切とは、主君のためにするものなのだ。そこでそれをやったら、かえって主家に迷がおよぶ。あくまで、わたしひとりの行動だと主張しなければならない場面だ。もちろん、若殿のことはしゃべらなかった。お家のほうもあわてたらしい。付をさかのぼらせて、わたしにひ

まを出したという形にした。つまり、ただの人のしわざ。岡っ引を投げ飛ばしはしたが、傷つけたわけじゃない。それと、ばくちの罪。で、遠島を申しわたされた」

「お家のために、罪をしょいこんだのですな。お武家さまとはつらいものですね」

「仕方ない。そういうものなのだ。まずはお家安泰だったが、この件の報告が上のほうに伝わったらしい。家臣への監督不行き届き。おかげで、殿は奏者番に任命されることに内定していたのだが、それがとりやめになってしまった」

「なんです、奏者番とは」

「江戸城内で、儀式の時に各大名の世話をする重要な職だ。これをうまくつとめると、寺社奉行、さらに上の職へと昇進する。早くいえば、殿は幕府のいい役職につくをとざされたというわけだ。お気の毒でならぬ」

「若殿のわがままのために」

「いや、わたしがおとめしなかったのがいけなかったのだ」

「主家から島へのとどけものは」

「なにもなかった。内心で同情はしても、公儀をはばかったのだろう。そのかわり、まったく名も知らぬ人から、ふしぎな手紙が来たというわけだ。あなたがたのように」

「いずれにせよ、われわれ、運よくご赦免になったのです。なにかの縁でしょう。江戸に帰ってからも、三人おたがいに助けあうことにいたしましょう」

「もちろん異議はない」

「手紙のなぞも、そのうちわかるでしょう」

船はぶじに江戸へつく。海から街をながめた時、三人はうれしさのあまり、涙ぐんだほどだった。なつかしい江戸に、いま、やっと帰れたのだ。

「おい、こっちへ来い。お奉行さまが、おまえらにお会いになるとのおおせだ」

町奉行所の一室に連れてゆかれた。取調べではないので、そばに書記役のたぐいはだれもいない。奉行はにこやかに言った。

「どのような気分か」

「申しあげるまでもありません。このように早く帰れたとは。まだ信じられません」

だれも同じ答えだった。

「あの手紙を見て、どう思ったか」

「半信半疑でございましたが、こうなってみて、本当だったとわかりました。しかし、お奉行さまが、なぜそれをご存知なので」

「じつは、わたしがったのだ」

「ああ、なんという、ありがたいおなさけ。それは本当でございましょうね」

「そうだ。流人のご赦免の決定は、わたし以外にできない。その気になれば、いまここで、その取消しをすることだってできるのだぞ」

「なにとぞ、それだけはお許しを。もう、二度と島へ行きたくはありません。島の住人の同情にすがり、食いつないで生きる毎。いいことはなにもない。思い出したくもない。どんな言いつけにも従いますから」

「そうであろう。これからは、まじめに人生をすごすことだな」

「それは、よくわかっております。しかし、それだけではございませんでしょう。わたしたちだけに、これだけ特別のおはからいをなさったからには」

「その通りだ」

うなずく町奉行に、三人は聞く。

「では、なにをしろと」

「そのに聞くが、島の流人たちは、どんな気分で毎をすごしておるのか」

「ご赦免のを待ちつづけでございます。それと、自分たちよりもっと悪いことをしているやつがいるのに、そいつらは発覚せず、江戸でいい気になって暮している。そのことへのくやしさでございます」

「そうであろうな。世に悪人のたねはつきない。巧妙なやつもいる。奉行所もなんとかしようとつとめているが、網にかからぬのがいるのは、どうしようもない。そのことについては、わたしも悩んでいる」

「悪人はかならずつかまる。そんな世の中が一も早く来るといい。島での生活で、それを另仔させられました」

「そこなのだ。そういう心境だと、話がしやすい。おまえらはそう悪事をはたらいたわけでない。また、どこかみどころがある。取調べの時から、わたしは目をつけていた。島でむだな人生をすごさせるのは惜しい。そこで、あのような手紙を出したのだ」

「お礼の申しようもございません。で、いったい、どのようなことをしろと」

「つまり、巧みに法の網をのがれている連中を、あばいてほしいのだ。ひそかに役所の手先をつとめるということは、いやかもしれない。それならそれでいい。おまえたちを島へ戻し、かわりの者を作ることにする」

「やります、やります。ぜひ、やらせて下さい。江戸にいられるのでしたら、どんな苦労もいといません」

それは実だった。島には生きがいがなく、変化がなく、まさに半分んだも同様の々。みな進んで引き受けた。

「では、よろしくたのむ。定期的に報告に来てくれ。しかし、この役所では人目もあることだし、さしさわりがある。わたしも小さいながら下屋敷を持っている。そっちのほうに来てくれ」

町奉行は連絡法を指示した。なお、下屋敷とは別宅のこと。江戸のはずれにあり、非番のにはそこへ行って休養したり、友人を招いたりする。ある分以上の者は、それを持っていた。

医師の良、役者の次郎、もと武士の尾形忠三郎。その三人は長屋のひとつを借り、共同で生活をすることにした。とりあえず酒を買ってきて、祝杯をあげ、飲みながら話しあう。

「さて、これからどうしたものだろう。良さんは、また医者をやりますか。食うための金はかせがなくてはならない」

「医者をやりたいが、わたしにできる療法はひとつしかない。薬草を飲ませて、内心のつかえをはき出させることだ。しかし、それをやると、また世をまどわすと訴えられかねない」

「困ったことですね」

「いや、待て。思い出した。島で、ある病人の手当をした。んでしまったがね。そいつから、盗んだ金のかくし場所を聞いておいた。仲間に裏切られ密告され、それを使うことなくぬのが残念だと、くやしがっていた。そいつを出して使うとするか」

尾形忠三郎がをはさむ。

「いや、それはよろしくない。その者のになってみろ。また、流人たちすべてのうらみがこもっている。もっと悪いやつらが、江戸でのうのうと暮していることについての。もし、われわれがその金を使ったら、いいむくいはないぞ」

次郎も賛成する。

「そういえば、そうです。また第一、これまでにして下さったお奉行さまの心にそむくことにもなる。金は奉行所に渡し、そのひどい相とやらを罰すべきです」

奉行所にそっと連絡すると、三後に下屋敷へ来いとの返事があった。三人が出かけると、奉行がえた。くつろいだ平姿。

「なにか報告があるとか」

「はい。金のかくしてある場所をお知らせいたします。また、それを盗んだ犯人のひとりの名も」

は知っていることを話した。どこからどうやって盗まれた金かを。

町奉行はすぐに手をする。金はちゃんと、そこにあった。また、犯人もとっつかまった。そいつは一時、江戸から逃げていたのだが、相が島でんだと風のたよりに聞き、安心して舞い戻っていた。あっけなく逮捕された。

そいつは町奉行からこまかい点まで指摘されると、たちまち恐れ入った。処刑される。そして、三人にはほうびの金が渡された。それはかなりの額だった。思いがけない収入。またも祝杯をあげることになる。

「いい気分だな。これで、あの島でんだやつのも救われるというものだ」

と良が言い、ほかの二人もうなずく。

「それに、あのお奉行さまの話のわかること。やはり、信頼にはこたえるべきだな。ほうびもいただけたし」

「世のため、正義のためになにかをするというのは、すがすがしいものだな」

三人はめざめた。かつての流人とは思えないような変化。奉行のねらいも、みごとな効果をあげた。そもそも、この三人、っからの悪人ではない。それが、わずかの期間だが島の生活によって、世の不公平を知り、いきどおりをいだいている。それがうまく軌に乗ったのだ。

しばらくたった、ある次郎は美しい女がカゴで街を行くのを見た。あか抜けした女。なにかありそうだとじ、あとをつけた。一軒の小さな家のなかに入っていった。商店の主人の別宅のような家。しかし、なんとなく不審さが残る。

それが発端となって、三人の調査により、かげの商売の存在のひとつが浮び上ってきた。注文に応じて、お好みの女を妾宅しょうたくに達する組織。こうなると妾めかけとはいえない。売と称すべきだ。

幕府は売を、遊廓内に限って許していた。街の風紀を守るためであり、また、遊廓からは巨額な金を定期的に召し上げている。そのため、他の売行為は取締りの対象になっていた。

しかし、妾をかこうことはじられていない。止したら、将軍や大名の側室まで問題となる。この盲点をついた、一だけの妾という巧妙な商売だった。幕府におさめなくてすむ金だけが、余分なもうけとなる。

こんなのがいるから、まともな人びとが損をしているのだ。三人はひそかに追及した。その元締めがどこにあり、どう注文をとり、どう女を連れてゆくかを。

そして、また町奉行へ報告した。どのような処罰がなされたかまではわからない。しかし、奉行は三人の働きをねぎらい、今度も多額のほうびを渡してくれた。

これで、三人はさらに勢いづいた。悪をこらしめることが有利な商売だとも知る。しばらくのあいだは、一味からしかえしされるのではないかと心だったが、そんなこともなかった。お奉行さまは報告者の氏名を秘密にしてくれたらしい。それは彼らを一段とづけた。なにし

ろ、われわれのうしろには、お奉行さまがついているのだ。

さて、つぎはなにをやろう。

にぎやかな街なかで、三人はけんかを演出した。良次郎の二人が、尾形忠三郎となぐりあったのだ。やじうまが集り、やがて岡っ引があらわれ、三人を物かげに連れていって。

そのあと、三人はそれぞれ各所をぼやいてまわった。

「派手なけんかをやらかしましてね。なに、たいしたことはなかったんですがね。その時のことですよ。岡っ引がやってきて、仲裁してくれた。そこまではいいんですよ。帰ろうとすると、ちょっと待てときた。おさめてやったのだから、礼金を出せという。十手にはかないません

。なにしろ、出さなければ、しょっぴくと」

ほうぼうで話すと、岡っ引にゆすられたという人の話を、いくつか聞き出せた。岡っ引とは、幕府につかえる者ではない。町奉行所下の与が、私的にやとった連中のことだ。なかには、たちの悪いのもいる。

たんねんに聞きまわっているうちに、悪質な岡っ引の人名表ができあがった。三人はそれを町奉行に報告する。おこられるのではないかと、いくらか不安だった。奉行所に対する批難でもある。

しかし、町奉行は喜んでくれた。

「よく調べてくれた。岡っ引に対して、庶民は泣き寝入りをしていたわけだな。いい参考になった。与たちにさっそく注意することにする。わたしの威信も高まるというわけだ」

ほうびの金をもらうこともできた。

世の中には悪の種類が多い。三人は島の流人たちのことを思い

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殿さまの日(日文版)

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作者:[日]星新一 类型:恐怖小说 完结: 否

★★★★★
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